赤ちゃんの舌小帯が短い

舌小帯(ぜつしょうたい)は舌の根元から舌先に伸びる‟ひだ”で、筋肉の塊の舌を自由自在に動かし、「食べる」「飲む」「話す」などサポートする役目を担っています。
生まれたばかりの赤ちゃんの舌小帯は薄い膜状で水掻きの様に透明な粘膜ですが、年齢と共に固くなって弾力性が無くなり固い結合組織に置き換わります。
左の写真は生後4か月の赤ちゃんの舌小帯ですが、舌を上に挙げるとまだ薄い膜状です。
右の写真は舌を前に出した状態ですが、舌小帯に引っ張られて舌先が割れて「ハート舌・スプリットタン」になっています。既に舌小帯が固くなって弾力性が無くなってきているためにこのような現象が起こります。「ハート舌・スプリットタン」の時に手術しても先割れは治りません。つまり手術時期がもう遅いのです。
海外では、生まれたばかりの赤ちゃんの短い舌小帯を切ることを勧めるし、昔の日本では産婆さんが「おっぱいの吸い付きが悪い」と言ってやはり短い舌小帯をハサミでチョキンと切っていたのです。
生まれたばかりの赤ちゃんの舌小帯は薄い膜状の粘膜だから切っても出血もしないし、痛みもないし治りが早かったのです。
そのおかげで舌小帯を切ってすぐに正常哺乳ができ、1日30g体重が増え、これから始まる「食べる」「飲む」「話す」舌の準備を生後6か月の間に準備万端にしておくのです。
今の日本では残念ながら、新生児の舌小帯切除手術は小児科医は否定しているために行われていません。
舌小帯短縮症と哺乳障害

哺乳は持って生まれた本能で、乳房を上唇と下唇で咥えて、口の中を真空状態にし、乳首を引っ張り込んで上顎の口蓋の吸啜窩に固定します。
そして舌が上下に激しく動いて母乳を搾り出します。
舌小帯が短いと舌が乳首を固定して搾り出すことができないために‟哺乳障害”になります。
赤ちゃんの成長は著しくて、生後1か月~3か月で体重が1日30~25g増加します。
これは哺乳がちゃんとできた場合で、舌小帯が短い哺乳障害では1日20gも増加できません。
搾り出した母乳は喉の奥に流れて行き、喉頭蓋(こうとうがい)の脇を通って食道に流れ込みます。
喉頭蓋は喉の奥の食道と気管の切り替えポイントです。
赤ちゃんは母乳を吸ったり、飲んでいるわけではありません。
舌は母乳を搾り出すだけで食道に流し込んでいるだけです。
更に、赤ちゃんは鼻で呼吸しながら哺乳しています。
これは喉の奥の切り替えポイントの喉頭蓋(こうとうがい)が哺乳している期間は動きません。
生後6か月を過ぎて、下顎乳前歯が生えてくると、喉頭蓋は動きだし、喉頭蓋は呼吸している時は食道は閉じていて、食べる時は気道を閉じて食道が開きます。
舌小帯短縮症と摂食障害・嚥下障害

正常(舌位) 低位舌(ていいぜつ)
舌小帯が正常で哺乳に問題がなければ、舌は6か月間のトレーニングが終わり、「食べる」「飲む」「話す」ことができる舌の筋肉が発達することができます。m
舌いつも上顎口蓋にくっついた状態で、これを「舌位(ぜつい)」と言います。
しかし、舌小帯短縮症のままだと、運動制限がかかって舌の筋肉の発達は望めないため舌の発達不全になります。
これが「低位舌(ていいぜつ)」と言って、下顎の歯の内側に舌が落ちている状態になります。
低位舌だと舌が上に挙がらないため「摂食障害(せっしょくしょうがい)」食べ物を飲み込むことができない、「嚥下障害(えんげしょうがい)」飲み込むことができない。
どちらも舌が上顎の口蓋に付いて、鼻から来る空気を遮断できないと飲み込むことができない。
更に、それに付随する「喉頭蓋(こうとうがい)」の食道と気道の切り替えが上手くいきません。
だから、生後6か月の間の哺乳のトレーニングが正常にできるように新生児での「舌小帯短縮症切除手術」が必要なんです。
この6か月間の哺乳トレーニングで一生が決まります。g
よく赤ちゃんのご両親から「切った方がいいでしょうか?」と聞かれますが、この事実を知ったらみなさん1日でも早く短い舌小帯を切ることをお勧めします。
口腔機能発達不全症と構音障害